痛み

 

入院中のある夜、私は自分の顔を殴っていた。

自分が憎くて仕方なかったからだ。

死にたいなんて甘えているし入院すること自体も家族に迷惑をかけているだけだ。

殴る、痛い。

もう一度殴る、痛い。

またもう一度、浮遊感がある。

どんどん浮遊感が増していって何が何だかわからなくなる。

ああ、でも自分が憎くて仕方ない。

眠れない夜はこうして痛みとふわふわした焦燥感でいっぱいになる。

痛み、それだけが救いだった。